2024年9月13日 日本経済新聞・読売新聞掲載 TikTok広告コメントの補足

LIVE配信って子どもでも簡単にできちゃうの?と思いきや、未成年者はできない仕組みで一安心しました。 NPO法人イーランチ 理事長 松田直子

 2024913日(金)の日本経済新聞と読売新聞に、TikTokの全面広告が掲載され、その中に上記のコメントが紹介されました。広告では限られた文字数のため、伝えきれなかった部分を少し補足させていただきます。 

ショート動画は他の同様のサービスも含め、今や青少年をはじめ幅広い世代に人気があります。特にTikTokでは「おどってみた」「歌ってみた」といったチャレンジ動画が子どもたちの間で人気が高く、「一度見始めるとなかなかやめられない」という心配の声もよく聞かれます。また、誹謗中傷や炎上、個人情報の漏洩、出会い系のトラブルなど大人にとっても心配な問題が多く、TikTokはこうしたリスクに対応するために年齢に応じた機能制限を設けています。今回の広告では「未成年はギフト(投げ銭)や配信ができない」といった制限に焦点が当てられていました。もちろん、これだけで全てのトラブルが防げるわけではありませんが、こうした制限があることで子どもたちが守られ、一定の抑止力にもなっていると考えます。

TikTokはそもそも13歳未満の利用が禁止されており、ダイレクトメッセージ(DM)は16歳以上のユーザーに限定されています。また、視聴時間を40分、60分、90分、120分から選択できるなど、保護者向けのペアレンタルコントロール機能も充実しています。「どうせ抜け道があるだろう」と最初から諦めるのではなく、保護者がこれらの機能を知って積極的に活用し、適切に管理することで、子どもたちの安全な利用環境をある程度整えることができると考えます。 

ただし、こうした制限に対して、子どもが窮屈に感じ、不満を抱くこともあります。そんなときには「決まりだからダメ」と頭ごなしに制限するのではなく、「なぜ今の年齢だとこの機能が使えないのか?」を一緒に考え、話し合う時間を作ることが大切です。 

最近の活動の中で、「ショート動画を見続けて、家庭のルールが守れなくなった子どもにどう対処すればいいでしょうか?」という質問をいただきました。ペアレンタルコントロールの活用はもちろん重要ですが、あえて「見るのをやめたら次に何をするかを一緒に考えて行動する」ことを提案しました。食事の片付けを一緒にやってお手伝いに「ありがとう」と感謝して褒めてあげたり、一緒に歯を磨く時間を作ったり、リビングで子どもが宿題をするなら、そばで親もスマホを置いて本を読むなど、家族の会話や一緒の時間を増やす工夫をしてみてください。

デジタルツールの利用に対処するためには、デジタル機能だけに頼るのではなく、親子のコミュニケーションを大切にし、アナログなアプローチを取り入れることも重要です。利用制限を「なぜこの制限があるのか?」を一緒に考えるきっかけにして、親子で話し合いながら進めてみてください。

NPO法人イーランチ 理事長 松田直子