パパのための子育て講座「スマホのある時代の子育てを考えよう」開催レポート
- 開催日時 2016年1月28日(木)19:00~20:30
- 会場 静岡駅パルシェ7F 第一会議室
- 参加者数 15名(アンケート回答15名)
- 講師 松田直子(イーランチ) 籔内祥司(カスペルスキー)
- アシスタント 中田順子・桑原光子・丸山千里(イーランチ)
インターネット利用の低年齢化とスマホ子育て
インターネットが私たちの暮らしに根付き、子育て中の家庭においても親はもちろんのこと、子どもにとってもスマートフォンはとても身近な存在になってきています。それに伴い、インターネット利用の低年齢化による心身発達への心配や悩みがささやかれるようになってきた背景をうけ、インターネット安全利用の啓発活動を続けるNPO法人イーランチでは、セキュリティソフトメーカーの(株)カスペルスキー協賛のもと、未就学児(0歳~6歳)の保護者対象セミナー「スマホのある子育てを考えよう」を、全国の幼稚園・保育園など36ヶ所で開催し約1,800名が受講され、その多くは母親でした。セミナーでは、乳幼児期においてのスマホの利活用とけじめのつけ方を考えたり、子どもの前での自分の使い方を見直すグループワークを実施していますが、その中で、パパのスマホ利用が話題になることがたびたびありました。
パパたちは、我が子(0歳~6歳)のスマホへの関わらせ方をどう考えているのか?
「子どもにスマホを使わせるときは、どこかでけじめをつけたいと思っているけれど、夫がゲーム機やスマホを手放さない」あるいは、「強く言うと夫婦間の雰囲気が悪くなるので悩んでいる」といった声を受け、1月28日におそらく全国でも初めての取り組みとなるパパ限定の子育てセミナー「スマホのある時代の子育てを考えよう」を開催しました。参加して下さったのは、静岡市内外から集まった職業も年齢も様々な、乳幼児を持つパパたち15名です。
子育ての日常の中で、スマホを使っているシーンは?
まず、子育ての日常の中で、スマホを使っているシーンを書き出し、良い使い方は「○」、悪い使い方は「×」、どちらにも分けられない使い方を「△」に分類しながら、意見の共有をしていただきました。セミナーでは、2014年にイーランチが調査した未就学児のスマホ利用実態調査結果を報告した後、2つのグループワークに取り組んでいただきました。次に、分類できない「△」に注目しつつ、その迷いを解決するためのルール作りに取り組んでいただきました。実はイーランチでもスマホと子育てをテーマとした、父親だけのセミナーやグループワークは今回が初めて。「果たして盛り上がるのか?」とても心配していたのですが、やってみたら笑顔が多く、とても和やか雰囲気の中、想像以上に盛り上がりました。
さて、パパたちの本音は?
子育てに上手に活用! でも・・・。
「○」に分類されたご意見は以下の通りです。
- レストランなどの場で静かにしてほしい時や、どうしてもぐずって困る場面にはスマホに助けてもらっている
- お下がりスマホをおもちゃとして活用している
- FaceTimeで出張先から子どもとコミュニケーションを取っている
- おじいちゃんおばあちゃんとの限定のSNSで子供の写真や動画を共有している
スマホを子育てに活用しているご意見がたくさん出され、「あるある~」と盛り上がるパパたちは、日頃から子どもたちをよく見ているし、子育てにしっかり関わっていると感じました。
ゲーム世代と言われるけれど、子どもの前ではスマホを使わないように心がけているパパが多数
- 「パパだけずるい」と言われるので、スマホ利用は子どもが寝た後や通勤電車の中に限定している
- 子どもの前ではスマホを使わないように心掛けている
- 子どもが生まれたことで、ママからすべてのゲームを禁止された
など、パパになったことで子どもの前での使い方を意識している方が多いようでした。「子供が寝てから使うとついつい長く使ってしまいがち。自分も夜遅くまで使わないよう気を付けています。」というご意見もあり、自分の生活リズムを崩さないように賢くお使いの様子がうかがわれました。
一方子どもに使わせる時には様々な悩みも
- ネットでの調べものは、親子で検索するのは〇だけれど、子どもだけではどうなのか?など、時と場合によってはっきり○×つけられないことが案外多い
- 基本子どもだけの使用には×、ただ仕事をしている側らで子どもにスマホを見せている状況はあるため、パパとして反省している
- 幼稚園の息子がスマホを取り上げられたくないためトイレで使っていたことがあり、反抗期ということもあるのだけれど、難しいと思いました
- 子どもがロック画面を触っているうちに、すぐに解除できない状態になってしまった
など、失敗談や反省も含め悩みや心配ごとを話し合われ、そのたびに共感の声があがっていました。
また寝かしつけの時は、絵本や音楽、砂の音などのアプリを活用する派と、全く使わせない派、そして、幼子を抱いて寝かしつけるときに、自分が退屈でスマホに手が伸びてしまうので反省しているなど、「寝かしつけ」の場面ひとつでも、様々な意見が交わされました。
そして寝かせるときに母親がいつも歌っている子守唄をスマホに録音しておき、母親が留守のときに聞かせたら、それを聞いて子どもが発語したといった感動エピソードも披露されました。
具体的なルールを考えてみよう
2つ目のグループワークでは、「○」「×」を決められない「△」に注目し、悩みや心配を解決させるためのルール作り取り組んでいただきました。
- テレビアニメなどは1話30分なので、それを目安にスマホ利用は1回30分
- 子どもの好きな動画が1話15分なので子供に使わせるときは15分
- 時間を決めていても幼児に時間の感覚は難しいので、スマホにアラームをかけて使わせる
- スマホはまず、親の持ち物だということを認識させ、スマホを触る前には手を洗わせる
- 充電器は決まったところに置き、大人もスマホの置き場を決める
- 寝る前は使わない
- 使うときは、親と一緒に
- スマホで遊ぶのは、すべきことを終わらせてから
- 子どもに使うことを禁止することばかりをいうのではなく、「こういうときは一緒に使おう」と「使える場合」をルールとしては?
ルール作りの基本として、「時間」「場所」「場面」を入れることをお伝えしていますが、パパたちのグループワークではそのあたりがきちんと網羅されていました。また、単に制約するだけではなく、「使える場合のルール化」という前向きな提案には、デジタルネイティブとして青春時代を過ごしてきたパパたちの世代感を感じました。
「家庭のインターネットはパパが守る!」~お父さんのためのセキュリティ講座~
セミナーの後半には、協賛企業のカスペルスキーさんより「家庭のインターネットはパパが守る!」~お父さんのためのセキュリティ講座~ をお話いただきました。
まずは、家族がどんな情報機器をつかっているのか、一覧表にして現状把握をしましょうというご提案にはじまり、これからはIoT (Internet of things)という言葉が示すように、私たちの暮らしの中に、インターネットが搭載されるものが増えてくる状況をうけ、「これだけは気をつけたい家庭のセキュリティ」のポイントを解説していただきました。
- パソコンの基本ソフト(OS)は最新の状態にしておきましょう
- ウイルス対策ソフトを入れましょう
- Wi-Fiを使う時は必ずパスワードを設定しましょう
- 子どもが使う機器にはフィルタリングを設定しましょう
- インターネット機器には必ずパスワードを設定しましょう
- ログイン認証のパスワードに注意しましょう
さらに、パパにお願いしたいこととして「家族がインターネットでトラブルに巻き込まれても、けっして叱らないでください」というメッセージが示されました。
ネットでトラブルが起きた時に叱ってしまうと、次から何も相談できなくなり、事態が悪化します。逆に「よく相談したね」と褒めてあげてください、と、家庭でのコミュニケーションのあり方にも触れるお話に、パパたちは大きく頷いていました。
まとめ
今回のパパ限定セミナーは初めての試みでしたが、終始和やかに熱心に共感しながら話をされていたのが印象的で、たのもしくもあり、うらやましくもありでした。
パパたちは、やっていいこと、悪いことは、充分わかっています。大好きなゲームだって子どもが生まれてママに禁止されれば、通勤途中のささやかな楽しみにして我慢しているのです。けれど、忙しい日常のなかで「ついつい・・」が出てきてしまう。だからこそ一度立ち止まって、○の使い方は情報共有し、×の使い方は反省し、どちらにも分けられない△の使い方を声に出し、意見を交わし、他の家庭での使い方を参考にしながら、改めて「守れるルール」を考えるセミナーは、意義があると思いました。
ところで、アンケートの結果によるとグループワークの取り組みやすさは、これまで開催してきたセミナーの中で一番満足度が高い結果となりました。
子育てに関わっていれば、悩みや心配ごとを持つのは、パパもママも同じ。ましてや正解や前例のないスマホと子どもの関わりに、迷いがあるのは当然とも言えます。
ママには子育て相談や、公園ママ同士のネットワークなどで話をする機会があっても、パパだけが集まって子育てについて話をする機会は、そうそうありません。
とても楽しそうに、そして真剣に話し合う様子を見て、この活動をこれからますます広げていきたいと思いました。
アンケートの詳細はこちらをご覧ください
「スマホのある子育てを考えよう」より